サイト評判ポリシー、EEAでは手動対策を停止へ|AI Overviewsの自動全開も(2026年8月30日まとめ)
目次
8月下旬に動いた海外SEOの話題から、実務判断に関わりそうな5件を取り上げます。規制対応によるGoogleのポリシー運用変更、検索結果画面の見え方の変化、スパムアップデート前後の順位データ、AI Overviewsをめぐる訴訟の法廷でのやりとり、そしてGEOに対するGoogle側の見解、という並びです。
① EEA域内では、サイト評判ポリシーの手動対策が効かなくなります

Search Central ブログで8月28日に告知された運用変更です。8月30日以降、サイト評判ポリシー(site reputation abuse policy=いわゆるパラサイトSEOへの対策)に基づく手動による対策(manual action)は、欧州経済領域(EEA)から検索するユーザーには効果を持たないという内容でした。EEAの外については、これまでどおりの適用が続きます。
Googleはこの変更の理由として、欧州委員会との協議とDMA(デジタル市場法)を挙げています。あわせて「欧州のユーザーもパラサイトSEOなどの手法によって同様に不利益を受けている」という趣旨のコメントも出しており、規制への対応という位置づけがうかがえます。一方、アルゴリズムによる評価そのものは止まらず、第三者コンテンツを独立したサイトとして扱う処理などは残るとされています。
読み方として気をつけたいのは、これをもって「EEAならパラサイトSEOをやってよい」とはならないだろう、という点です。手動対策が外れてもアルゴリズム側の判定は残るためです。日本国内向けのサイト運用に直接響く話ではありませんが、多言語・多地域でサイトを展開している場合は、地域によって順位の動き方が分かれる可能性を想定しておくとよさそうです。
- Google Search Central Blog: Update to the Site Reputation Policy
- Search Engine Roundtable: Google Won’t Enforce Its Site Reputation Policy In The European Economic Area
② 最初から全文が開いたAI Overviews、Googleが挙動を認める

クエリによっては、AI Overviews が最初から完全に展開された状態で出るという報告があり、Googleがその挙動を確認しました。通常は「もっと見る(Show more)」をクリックして全文が読める形式ですが、この場合は開いた状態から始まるため、その分だけ通常の検索結果が下へ押し下げられることになります。すでにユーザーがスクロールしていれば展開はキャンセルされ、読んでいる位置は保たれる仕様だと説明されています。
Google広報のコメントは「一部のクエリでは、システムが最も有用と判断したトピックについてAI Overviewsが動的に拡張されることがある」というものでした。業界では、AI Modeに近い体験を通常の検索側へ寄せていく動きではないか、という見立ても出ています。ただしこれは観測からの解釈であって、Googleが方針として明言したわけではない点は分けて考えたいところです。
実務への影響としては、該当するクエリでオーガニック枠がファーストビューに入りにくくなる可能性が考えられます。断定はできませんので、主要なクエリについてSearch Consoleの表示回数とクリックの推移をクエリ単位で切り分けて眺めておく、という程度の備えが現実的でしょう。
③ 8月スパムアップデート、数字で見ると平常時より大きい変動

2026年8月のスパムアップデートは、8月18日から21日にかけて展開されました(全言語・全世界が対象で、今年3回目です)。SE Ranking が米国の20業種・10万キーワードを対象に調べたところ、展開期間にあたる8月17〜22日に、トップ10だったURLが100位圏外まで落ちた割合は16.71%という数字が出ています。アップデートが確認されていない比較期間(7月26〜31日)の9.2%と並べると、およそ1.8倍です。
落ちた側だけでなく、上がった側の動きも報告されています。アップデート後にトップ3へ入ったURLのうち、その直前は20位にも入っていなかったものの割合が12%増えたとのことです。トップ10の変動率は業種によって開きがあり、不動産の74.64%からファッション・美容の85.55%までの幅がありました。
なお、展開の完了後も複数の順位追跡ツールで変動が続いていると報じられており、8月26日の時点でGoogleはこれを公式に認めていません。原因も特定されておらず、まだ断定を避けるべき段階だと考えられます。順位が動いたサイトでは、あわてず、まずスパムポリシーへの抵触がないかを点検するあたりから手を付けるのが無難でしょう。
- Search Engine Land: Google’s August 2026 spam update hit rankings harder than normal
- Search Engine Roundtable: Google Search Ranking Volatility Continues Post August Spam Update
④ Penske Media対Googleの公判で、Mehta判事が「不公正に見える」と発言

Rolling Stone などを傘下に持つPenske Mediaが、AI Overviews をめぐってGoogleを訴えた独占禁止法訴訟の公判が、8月26日に開かれました。審理を担当するAmit Mehta判事は、Google側の主張に対して「all seems really unfair(すべてが本当に不公正に見える)」と述べ、出版社が自社コンテンツの使われ方を制御できない状況を問題として取り上げました。AI機能が「出版社の背中の上に(on the backs of the publishers)」成り立っているという表現も伝えられています。
Google側の立場は、AI Overviewsは製品の改善であり、出版社はインデックスからオプトアウトできる、というものです。これに対してPenske側は、Googleが検索での支配的な地位を背景にコンテンツを無償で使っている一方、他のAI事業者は対価を支払っていると反論しています。
判決はまだ出ていません。 判事は却下申立てについての判断を示しておらず、現段階で言えるのは「公判での質問の内容から、原告の主張が一定程度真剣に検討されている可能性がある」という程度にとどまります。結論を先取りせず、続報を待ちたい場面です。
⑤ 「検索の生成AI回答のために特別な作業は要らない」とミューラー氏

GEO(生成エンジン最適化)に関する質問に対し、GoogleのJohn Mueller氏がBlueskyで「from our POV there’s nothing really special you need to do for generative AI responses in search(我々の観点では、検索の生成AI回答のために特別にやるべきことは本当にありません)」と回答しました。特定の業種ではGEOが不要なのか、という問いに答えたものです。同氏は別の機会にも、新しい略語を強い緊急性とともに押し出す動きほど、スパムや詐欺である可能性が高いと注意を促しています。
押さえておきたいのは、この発言の射程がGoogle検索のAI Overviews/AI Modeに限られていることです。ChatGPTやPerplexityといった他のプラットフォームは、それぞれ独自の検索・選別の仕組みを使っている可能性があり、同じ結論をそのまま持ち込めるとは限りません。これは仮説というより、話の対象範囲の違いとして区別しておくべき部分です。
やるべきことの順番としては、Google向けにはSEOの基本、つまりクロール・インデックス・コンテンツの質・構造化データを整えることが土台になります。そのうえで、他のAIサービス経由の流入があるサイトなら、リファラーやブランド名検索の推移を別枠で計測しておくと、判断の材料が増えます。新しい略語のついた施策に飛びつく前に計測の土台を用意する、という順序が現実的でしょう。
- Search Engine Roundtable: Google Says There Is Nothing Special To Do For Generative AI Responses In Search
- Search Engine Journal: Google Answers If Some Sites Can Ignore GEO And Just Focus On SEO
今回は、規制対応によるGoogleの公式なポリシー変更、検索結果の見え方の変化、そしてスパムアップデート後も続く変動が同じ時期に重なりました。どれも今すぐ方針を大きく切り替える種類の話ではなく、計測を丁寧に続けて事実を積み上げる段階だと受け止めています。順位が動いたサイトほど、原因を決めつける前にログとデータを確かめるところから始めたいものです。
一般社団法人 全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント。SEO・コンテンツマーケティングの実務に従事し、検索アルゴリズムの動向・Google公式情報・特許情報の読解をもとに、企業サイトの検索最適化を支援。「SEOニュースブログ」では、一次情報を基準に、断定せず証拠ベースで検索の最前線を読み解く記事を執筆しています。
