AI Modeの出口が広がる日に、順位データは揺れていた(2026年10月20日 SEOニュース)
目次
2026年10月20日の朝までに確認できたトピックを、6本に絞ってお届けします。計測データの信頼性、Google公式の発表、AI検索の引用、規約の文面変更まで、実務の判断材料になりそうなものを並べました。
① ツールの順位が実測とずれる — 「別物のSERP」が返っているという分析

順位チェックツールの数値が実際の検索結果と噛み合わない、という指摘が9月下旬あたりから目立ってきました。エンタープライズ向け計測サービスの Nozzle が分析を公表し、Search Engine Journal がこれを10月14日に取り上げています。
- 普段とは違う形の検索結果ページが9月20日ごろから現れはじめ、取得データのうち最大25%を占めた時期もありました。10月1日以降は日次で5〜11%程度とされています。
- 同一キーワードを繰り返し取得した際のサイト一致率は、通常の結果で88.5%。対してこの「汚染された」結果では20.7%まで落ちます。AI Overviewsの出現率も34.9%で、通常の54.2%を下回りました。UGC系サイトや画像パックが目立つ傾向もあわせて報告されています。
- 厄介なのは、返ってくるページが見た目には完成しているという点です。ツール側はエラーと判定できず、そのまま正常なデータとして蓄積してしまう、と指摘されています。
Nozzle 側は、検索結果をスクレイピングするAI企業への対策が、同じ手法でデータを取る順位計測ツールにも及んでいるのではないかという見方を示しています。ただしこれは分析者の仮説にとどまり、Googleからの公式な説明は出ていません。順位が急に落ちたように見えたときは、多数のキーワードが同時に動いていないか、Search Consoleの推移と話が合うかを先に確かめてから手を打つのが無難でしょう。
出典: Search Engine Journal / 海外SEO情報ブログ
② AIの回答からサイトへ — Googleがリンク表示の改善を公式発表

10月15日、Google の Hema Budaraju 氏(VP, Product Management)から、AIの回答を経由してサイトへ移動しやすくするための一連の更新が発表されました。内容は次のとおりです。
- 回答の本文中に差し込まれるインラインリンクを増やし、より上側に表示される機会を広げる(展開中)。
- 手順などの出どころが公式1〜2件に絞られるケースでは、回答の冒頭に公式ページを示すセクションを表示する(テスト段階)。
- 「優先ソース(Preferred Sources)」を前に出すニュースカルーセルを、対象の国・言語・クエリを拡大して提供開始。
- 回答の末尾に並ぶ関連記事リンクへサムネイル画像を添え、クリックしやすい見た目へ変更。
- AI Mode の動画結果から、クリエイター名やパブリッシャー名をクリックして検索プロフィールへ飛べるテストを開始。
優先ソース機能の利用量は年初と比べて7倍以上に伸びたと説明されています。一方で、クリック数がどの程度増えるのかを示すデータは公開されていません。効果の見極めは自社の計測結果を待つことになります。
出典: Google 公式ブログ / 海外SEO情報ブログ
③ Personal Intelligence 連携ユーザーにも — AI Mode での広告テスト

アプリを Personal Intelligence に連携しているユーザーの AI Mode でも広告を表示するテストを開始した、とGoogleが認めました(10月19日報道)。3月の時点では「アプリを連携した人には現在広告を出していない」という説明でしたので、方針が切り替わった形です。
検索のヘルプ文書も更新されています。報道によれば、Gmail や Google フォトの内容をそのまま materials にして広告を出すことはないとしつつ、連携したコンテンツの要約・抜粋・推論を検索側が利用し、その同じ情報が広告の表示にも使われうる旨が書き加えられました。センシティブなカテゴリーでのパーソナライズは行わず、連携の解除はいつでも可能とのことです。
広告主やサイト運営者の立場では、AI Mode という面の在庫が今後どう扱われていくのかを、しばらく観察する段階だと思われます。
④ PDFはAI検索に載るのか — Googleが説明した処理の中身と落とし穴

Google の Search Off the Record エピソード115で、John Mueller 氏と Martin Splitt 氏が PDF の取り扱いを解説しました。実務で押さえておきたい点を拾い出します。
- GoogleはPDFをレンダリングしたうえでHTMLへ変換し、そこからインデックスします。変換後は通常の文書と同じ扱いになるため、AI Overviews や AI Mode に現れることもあります。
- いちばんのリスクはテキストが抽出できるかどうかです。画像だけで構成されたPDFは読み取れません。全選択してコピーし、テキストエディタに貼って文字が取り出せるかを見るのが手軽な確認方法です。スキャンPDFのOCRについて、Mueller 氏は信頼できないと述べています。
- PDFは単一ファイルなので、他サイトへコピーされると完全一致になり、どれが正規URLなのかの判定が難しくなります。対処としてHTTPヘッダーでの `rel=”canonical”` 指定、またPDFの冒頭に自サイトへのリンクを置く方法が挙げられました。
- パスワードで保護されたPDFは読めません。robots.txt でブロックすることもできます。サイズの上限は公表されていないものの、Googleのドキュメント上はPDFの先頭64MBをクロールするとされています。
- 運用面では、更新のときは新しいファイル名で公開する、頻繁に書き換わる内容はPDFに入れない、という方針が勧められています。固定レイアウトが必要なときや印刷・フォーム用途ならPDF、それ以外はHTML、という線引きが基本になりそうです。
出典: 海外SEO情報ブログ
⑤ 存在しない概念が1週間で引用された — 復旦大学の実験

復旦大学の研究チームが10月8日に arXiv へ投稿した論文を、Search Engine Journal が紹介しています。ウェブ上に置かれただけのコンテンツを、AI検索ツールがどれほど引用するのかを確かめた内容です。
- まず3月に120問を10種のAI検索ツールへ投げ、引用元として登場しやすいサイトを洗い出しました。続く4月に、新規アカウントで投稿できる9サイト(Medium、YouTube、Sohu など)を選定し、架空の3テーマで記事を投稿しています(下書きはChatGPTで作成し、その後に手直し。検出用として架空の固有名詞や数値を埋め込み)。
- 架空の概念「Cactus Gravity Protocol」については、1週間以内に10ツール中8つが引用。英語圏の4ツール(ChatGPT、Perplexity、Grok、Google AI)はすべて引用し、Grok は32回答のうち30回リンクしたと報告されています。
- 対照的に、意見を尋ねる質問や架空のキーボードはほとんど引用されませんでした。自前のWordPressへ40本投稿したケースでは、7日間で引用はゼロ。本数よりも「どこに置いたか」が効いた、という結果です。
著者自身が限界も明記しています。テーマはすべて架空であり実在ブランドに当てはまるかは不明、テーマ・競合性・質問タイプそれぞれの影響を切り分けられていない、という点です。加えて検証時期は3〜4月で、Googleが5月に「生成AIの回答を操作する行為もスパムポリシーの対象」と明確化する前にあたります。Googleは不自然な言及を狙う手法を「思われているほど有益ではない」としており、再現を試みる施策として読む内容ではありません。AI検索の引用元がまだ安定していないことの示唆、という受け取り方が妥当だと考えます。
⑥ Metaがクロール条項から「学習」を削除 — 10月30日に新規約が発効

10月30日に発効する Meta の新しい Commercial Terms で、クロールに関する条項から「train(学習)」という目的が削除されました。クロール自体の許諾は残されています。
- 旧い文面では、収集したコンテンツを「提供・開発・改善・調査・学習・整合性維持」に使えるとしていました。新しい文面はこれを「広告およびビジネス製品」の提供・開発・改善・調査・維持、および製品の整合性・セキュリティに結び付ける形になっています。
- 適用範囲は「Metaの製品のビジネス利用」全般で、広告を出していない事業者も含まれます。Facebookページを運用しているだけでも対象です。
- Meta の説明は「この条項は広告・ビジネス製品にのみ適用されるもので、クローラーの使い方自体は変わらない」「robots.txtの指定を尊重することが旧文面では明確でなかった」というものでした。これに対し専門家からは、develop に学習が含まれうるなど、文面は依然として広いという指摘も出ています。
- 新文面に robots.txt への言及はありません。また10月19日の時点で、英国版のプレビューには旧表記が残っていたと伝えられています。
実務としては、発効の前に該当条項を自分の目で読み、MetaのAI学習用クローラーとMeta AI検索用クローラーを robots.txt でどう扱っているかを点検しておくとよさそうです(robots.txt の遵守はあくまで任意で、法的な強制力はないという点もあわせて指摘されています)。
本日のトピックは以上です。計測データに違和感が出やすい時期ですので、ツールの数値だけを根拠にせず、Search Console や実際の検索結果と突き合わせて判断することをおすすめします。
一般社団法人 全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント。SEO・コンテンツマーケティングの実務に従事し、検索アルゴリズムの動向・Google公式情報・特許情報の読解をもとに、企業サイトの検索最適化を支援。「SEOニュースブログ」では、一次情報を基準に、断定せず証拠ベースで検索の最前線を読み解く記事を執筆しています。
